〜新しい気づきと上司としての接し方〜
先日、小栗隆志さんの著書『Z世代の社員マネジメント ― 深層心理を捉えて心離れを抑止するメソドロジー』を読みました。読後感として率直に言えるのは、「新しい発見と気づきを与えてくれる一冊だった」ということです。
特に40歳前後のマネジメント層にとっては、新入社員や若手社員とどのように接するべきかを考える上で、大きなヒントになる内容が詰まっていると感じました。
印象に残った「組織人格」と「個人人格」
本書の中で、私の心に強く残ったのは「組織人格と個人人格」の考え方です。
部下を指導する時に、自分の指導方法は本当に合っているのだろうか、どういう基準で指導すべきなのか迷う時がありました。
その時の指針の一つとして、人には組織人格と個人人格があると理解しました。
部下を指導する際に、「個人」としての人格を否定してしまうと、それは「個人攻撃」に繋がってしまいます。しかし、それでは指導の本質が伝わらず、むしろ信頼関係を損ねてしまうリスクがあります。
そこで大切なのは、「組織としてのあるべき姿」を示すことです。
つまり「私は上司として、個人としてではなく“組織”の代表として指導している」というスタンスを取ること。これによって、部下も「自分が否定されている」のではなく、「組織の一員として成長を期待されている」と受け止めやすくなるのです。
この視点は、実際のマネジメントにすぐに活かせる大切なヒントだと思いました。
今も昔も変わらない「将来への視点」
また本書を通じて改めて感じたのは、今の若手社員に限らず、昔から「今さえ良ければいい」と思ってしまう人は少なくないということです。
しかし、5年後・10年後を考えたとき、今のままで本当に良いのか?
たとえば今は上司に頼り切りでも、いずれは自分も部下を持つ立場になります。その時、自分がどのように部下から見られるのかを理解しているだろうか? あるいは、部下に仕事/役職で追い抜かれるリスクを意識しているだろうか?
今だけ良ければ良いや、という仕事の仕方をしている若い人が多い気がしますが、こういうった視点を持ち、長期視点で自分の置かれている立ち位置を客観視する事も重要という事を伝えた方が良いと感じました。
そうした視点を若手に伝えていくことも、マネジメント層の大切な役割だと改めて考えさせられました。
まとめ
『Z世代の社員マネジメント』は、若手社員をどう育てるかという一面的なノウハウにとどまらず、「上司としてどうあるべきか」を問い直させてくれる一冊でした。
特に「組織人格と個人人格」の切り分け方や、「今だけでなく将来を見据えた成長」をどう伝えていくかという視点は、私にとって非常に参考になりました。
Z世代に限らず、部下を持つすべてのマネジメント層におすすめできる本だと思います。